尋常性白斑(白ナマズ)とは

境界明瞭で、完全に皮膚の色素が白く抜ける病気です。性差はなく、20歳くらいの若年者に多く見られます。原因はメラニン色素やメラニン色素細胞に対する自己免疫や末梢神経機能の異常などが考えられています。白斑の分布の仕方で次の3型に分類されています。

>日本皮膚科学会Q&Aの『白斑』

  • 非分節型
    神経支配領域と関係なく、手背、四肢伸側、腰腹部、顔面、頸部などのこすれるところに発症し多発しやすいタイプ
  • 分節型
    神経支配領域に沿って片側性に発症し、若年者に多いタイプ
  • 未分類型
    限局性に1か所のみに生じる限局型と粘膜型のタイプ

この病気の特徴

  • 境界明瞭な、完全に色が抜けた斑です。
  • 徐々に拡がることがあります。
  • 神経支配領域を考慮して、次の2型に分類されます。
    非分節型:神経支配領域に関係ないタイプで全体の6~7割がこれです
    分節型:神経支配領域に一致した片側に発症するタイプ。ほかの自己免疫疾患を合併していることがあります。
  • 痛み、かゆみなどの症状はみられません。
  • 他の人にはうつりません。

生活上の注意

日焼けすると病変周辺の健常部皮膚の色が濃くなり、かえって目立つことがあるため、日焼け対策をしましょう。

尋常性白斑(白ナマズ)の治療

専用のカモフラージュ化粧品によるカバー
角層を着色し、白さを目立たなくする専用の肌色着色料です。塗布後、約3時間で発色し始め、約6時間で色が定着します。着色後は洗ってもこすっても色落ちせず、約2〜3日間白斑を目立たなくできます。
色つきタイプと透明タイプがあり、初めての方には、塗った部分がわかりやすいよう製品にオレンジ色がついている色つきタイプがおすすめです。
グラファ ダドレス  内容量:11ml 3080円(税込)

ステロイド外用
発症初期に効果的です。分節型では効きにくいとされています。

光線治療
当院ではエキシマライトによる治療を行っています。エキシマライトは白斑部分以外の正常な皮膚をなるべく照射しないように部分照射が可能で「ターゲット型治療器」と呼ばれます。照射面積が小さいので限局性の白斑の治療には効果的な治療法です。色素再生能力(治療効果)はPUVAやナローバンドUVBよりもエキシマライトがもっとも優れていると考えられています。紫外線の影響(特に発がん性)は明らかではありません。これまでエキシマライトで癌が発生した例はなく、紫外線発がんを考える場合、日常の浴びている直射日光の危険性の方が大きいともいわれています。週1~2回の治療をおこない、20~30回照射した段階で色素再生の有無を評価して、その後の継続治療を検討するのが一般的です。

外科治療(ミニグラフト法)
限局型や拡大のとまっている分節型が適応になります。正常な皮膚から採取した1mm程度の植皮片を田植えの様に白斑に植える治療です。ミニグラフトを植えた白斑に紫外線照射をすることで、徐々に色素が広がって数ヶ月~1年で白斑を埋めていきます。
※健康保険の適応はないため自費の治療となります。20か所30,000円(税別)目安として10か所で1円玉大の白斑をカバーします。

合併症・リスク

・移植部分の隆起
・色素沈着
・赤み
・生着不良
・再発
・ケロイド

白斑の症例写真

症例1

エキシマ102回照射
トプシムクリーム(Very strong)

白斑は見た目の問題とはいえ患者さんのQOL(生活の質)に支障を与えることも少なくありません。以前まではしっかりとした治療方針がありませんでしたが、2012年に「尋常性白斑診療ガイドライン」ができました。当院にてもそのガイドラインに則り、しっかりと有効性の認められている標準治療を行っています。
具体的にはステロイド外用療法や紫外線療法が実施されています。白斑の治療はいまだ難しい症例も多く存在しています。そしてその効果がでるのに時間がかかり継続が必要となります。そのため一旦半年程度で効果判定を行い患者様と話し合いのうえその後の治療継続を考えていくようにしています。
ただその際にあきらめてインターネット上に掲載されている科学的根拠のない治療法に助けを求めて高額な治療をしてしまうケースも少なくありません。新しい白斑の治療薬は世界各国で開発されており、今後日本でも新しい有効な治療法が受けられるようになると思われます。あきらめないで一緒に治療していきましょう。