ニキビとは

10~30歳代の青年期の男女に多い慢性の病気で、顔、胸、背中に多く見られます。
皮脂がたまった毛穴(この状態を面皰といいます)が炎症をおこし、赤いぶつぶつが生じます。

>日本皮膚科学会Q&Aの『ニキビ』

病気の特徴

  • 面皰(コメド):毛穴がつまり、皮脂が溜まった状態。白色や黒色にみえるため白ニキビ、黒ニキビといいます。
  • 炎症性ニキビ
    赤ニキビ:毛穴の中でアクネ菌が増えて炎症がおこり赤くなります。
    黄ニキビ:炎症がすすみ、拡がった毛穴の壁が破れて、周りの組織に炎症がひろがり黄色い膿をもつようになります。
  • 嚢腫・硬結:炎症が拡大して進行すると、皮膚の下に膿の袋(嚢腫)ができたり、硬い盛り上がり(硬結)ができたりします。

生活上の注意

  • ストレスの少ない規則正しい生活を心掛けましょう。
  • 食事制限はありません。
  • 化粧はしてもいいですが、毛穴を塞ぐような油成分の少ないもの(ノンコメドジェニック)を選択しましょう。
  • ニキビを潰したり、触らないようにしましょう。
  • ニキビを刺激しないように家では前髪を上げましょう。
  • 洗顔は1日2回、洗顔料を使用して洗って下さい。
  • 皮膚の乾燥を防ぐために保湿剤の併用をしてください。
  • 便秘に注意して下さい。

治療方法

ニキビ治療の基本は面皰をなくし繰り返さないようにすることが大事です。
そのためアダパレンや過酸化ベンゾイルなどの面皰をターゲットにした治療が最も重要です。

ニキビ保険治療

  • ディフェリンゲル(アダパレン)
  • ビタミンA誘導体と似た作用を持ちます。角化を抑える働きがあるため、面疱ができにくくなります。
【ディフェリンゲルの塗り方】
  • ベピオゲル(過酸化ベンゾイル)
  • 抗菌作用、ピーリング作用を併せ持つため、ニキビ菌への殺菌と面疱治療ができます。抗生物質ではないため、耐性菌が発生しないことが特徴です。
【べピオゲルの塗り方】
  • デュアック配合ゲル(過酸化ベンゾイル/クリンダマイシン)
  • 過酸化ベンゾイルにクリンダマイシンという抗生物質が配合されています。これらを併用してすることでニキビ菌の耐性化が防止しやすいと考えられています。
  • エピデュオゲル(アダパレン/過酸化ベンゾイル)
  • 配合剤であり最強の治療薬です。ただし刺激感などの副作用に注意が必要です。
【エピデュオゲルの塗り方】

ニキビ自費治療

アゼライン酸(AZAクリア)

刺激が少なくニキビの米国皮膚科学会のガイドラインにも軽症の第2選択薬に記載があります。アトピー性皮膚炎の方や肌が弱く過酸化ベンゾイル、アダパレンの使用がどうしても難しい方におすすめしています。

ロート製薬DRX®AZAクリア
1本 1,980円(税込み)

ベーシックケアAZ

アゼライン酸を配合した乳液タイプ(ベーシックケアAZ)とアゼライン酸誘導体3%を配合した化粧水タイプ(ベーシックケアAZクリアローション) 
ニキビ治療で使用されるアゼライン酸は20%と高濃度で刺激感を感じる方もいらっしゃいますが、ベーシックケアAZは治療用よりも低濃度で配合しているため刺激感がほとんどなくご使用いただけます。
詳しくはこちら

ベーシックケアAZ クリアローション 左
125ml 4,400円(税込)
ベーシックケアAZ 右
60g 3,300円(税込)

ケミカルピーリング

当院ではサリチル酸マクロゴールを使用しています。角質除去と皮脂分泌のコントロール力に優れており面皰治療に有効です。アゼライン酸同様、肌への刺激が少ないので肌が弱い方でもお受けいただけます。

サリチル酸マクロゴールの特徴

  • 確実に角質層でのみ浸透が留まるため血液に吸収されることがなく副作用も少なく安全といわれています。
  • ニキビの細菌や皮脂、角栓を溶かすのでニキビ治療に効果的で、今あるニキビを治すだけでなく再発しにくい状態を作り出します。
  • コラーゲンを増加される効果があるため、キメや弾力を実感させると共にニキビ痕や毛穴の改善にも効果があります。
  • ピーリング剤が毛穴の中に入り込み皮脂のつまりを取り除きますが、その際ピーリングの刺激は真皮層にまで伝わりそれによってコラーゲンやエラスチンの産生を促進します。
  • 肌の内部からハリ、弾力がよみがえり、毛穴の開きを改善するほか小じわやたるみの予防にも繋がります。
  • 大きな効果がありながらも肌への刺激は少なく痛みや赤みが出ないこと、回復が早いことが特徴ではありますが、角質層をすっかり溶かしてしまうのでバリア機能が失われます。

ケミカルピーリング後の注意

角質層を溶かしてしまうためバリア機能が失われます。肌の再生機能も高まるので数日後には新しくキメの整った角質層が厚さを増していきますが、その間は十分な保湿と紫外線予防が必須となります。

こんな症状の方にオススメです

  • ニキビ
  • ニキビ痕
  • 毛穴の開き
  • くすみ
  • 小じわ
  • 薄いしみ

治療の流れ

  • 洗顔
  • 肌を整えた後(脱脂)ピーリング剤を塗布する
  • ピーリング剤が浸透するまで待つ(約5分)
  • ピーリング剤を拭き取る
  • 洗顔
  • イオン導入(サービス)
  • ピーリング後の肌は一時的に赤みや、シミが濃くなったように見えることがありますが心配ありません。通常3~4日で治まります。
  • ピーリング後の肌は紫外線に敏感になっています。
  • 当日よりお化粧を出来ますが使い慣れた日焼け止め、ファンデーションなどで肌を外的刺激から守って下さい。
  • しばらくの間は薄皮が剥けるような感じになることがあります。
  • 肌の乾燥を防ぐため保湿をして下さい。
  • 無理に擦ったり、剥ぎ取ったりしないようにして下さい。
  • 妊娠中、授乳中の方はお控え下さい。

ケミカルピーリングの料金

ケミカルピーリング(イオン導入込み)11,000円
背中22,000円

ニキビの内服治療

ニキビの米国皮膚科学会のガイドライン

さらに治りにくいニキビに対する治療選択肢としてイソトレチノインやホルモン治療が推奨されています。

イソトレチノイン

ビタミンA誘導体を含む内服薬で皮脂を作る皮脂腺を縮小させ、また角化を抑制することによりにきびを劇的に改善します。通常の外用治療をしっかり行っても改善しない重症のにきびの治療に使用します。日本では認可されておらず、また、個人輸入も禁止されております。しかし、医師が輸入し個人に処方することは認められています。1クール6~12ヶ月となります。内服中の効果は非常に高い薬剤ですが25~50%で再発するといわれています。もし再発した場合もう1クール追加する場合もあります。催奇形性があるため、妊娠されている方、近いうちの妊娠を望んでいる方、授乳中の方は内服できません。内服終了後も半年間は避妊が必要です。内服中および内服終了後半年間は献血ができません。男性も内服中はパートナーを妊娠させないでください。そのため女性の大人ニキビにはまずはホルモン治療をお勧めします。

ニキビのホルモン治療

低用量ピル

生理前に悪化しやすい、生理不順があるなど性ホルモンの影響が強く従来の治療で改善しない女性のニキビに対し、低用量ピルを飲むことにより黄体ホルモンの働きを抑制することによりニキビの改善を目指す治療です。当院ではマーベロンという薬を採用しています。他の低用量ピルに比べ、ニキビの一時的な悪化が少ないためです。
またさらにスピロノラクトン内服を併用するとより効果が出やすいですのでお勧めです。

スピロノラクトン

スピロノラクトンは本来高血圧の治療に用いられる利尿効果のある薬です。別の働きとして、男性ホルモン作用をブロックする作用があり、ニキビの原因となる男性ホルモンの働きを抑え、大人ニキビを改善します。保険治療は認められておりませんがその効果は非常に高く、中止後もリバウンドが起きにくいのも特徴です。月経不順がおこることがあるため低用量ピルを併用します。

機器によるニキビ治療

  • アグネス
  • 特殊な電気針を使って「皮脂腺」を凝固させることで、大人ニキビの原因である皮脂の過剰分泌を大幅に減少させる皮脂腺電気凝固治療(小林法)に特化した機器です。
  • ただし処置した部分は再発しませんが微小面皰はその対象でないためその適応は限られています。
  • 診察により保険診療やホルモン治療をお薦めすることもありますのでご注意ください。

ニキビの症例

症例1

治療前
1年半後

(保険)外用・内服
(自費)ロアキュタン20日内服

症例2

治療前
1年後

(保険)外用・内服
(自費)ロアキュタン4ヶ月内服・Vフェイシャル5回照射

症例3

治療前
6ヶ月後

(保険)内服
(自費)アゼライン酸・ロアキュタン4ヶ月内服・Vフェイシャル2回照射

症例4

治療前
6ヶ月後

(保険)外用・内服
(自費)ロアキュタン4ヶ月内服

症例5

治療前
7ヶ月後

(保険)外用・内服
(自費)ロアキュタン2ヶ月内服・Vフェイシャル6回照射

症例6

治療前
1年3ヶ月後

(保険)外用・内服
(自費)ロアキュタン2ヶ月内服・Vフェイシャル6回照射

ニキビ治療の基本は新しくできるニキビをなくし繰り返さないようにすることが大切です。そのためアダパレンや過酸化ベンゾイルなどの面皰をターゲットにした治療が最も重要です。ただしこれらの治療で効果が出てくるのは最低でも6カ月の継続が必要です。また刺激感があり継続が難しい方もおられます。当院では保険のみでなく自費治療の選択肢を準備しており、さまざまなニーズに対応可能ですがまずはしっかりと基本の治療の理解が十分できているかどうかの確認をしてから、こちらがどうしてもこれらの治療では困難と判断した場合に提案していきます。ニキビ・ニキビ跡で悩まれている方、いつでも是非ご相談ください。

日本皮膚科学会Q&A

ニキビ跡とは

ニキビ跡には大きく3種類あります。

炎症後色素沈着:自然軽快することもありますが半年以上たっても改善しないようなら
レーザートーニングハイドロキノン・トレチノイン療法をおすすめします。

赤色瘢痕:数年かけて落ち着くこともありますが改善に時間が長くかかることが多いため
Vビームを用いて治療を行います。

陥凹性瘢痕:炎症を長い時間放置すると凹んだクレーター跡になります。このニキビ跡は自然治癒することはなくフラクショナルレーザーをおすすめしています。

症例写真

症例1

治療前
治療前
5年後
5年後



  • 参考費用
  • Vフェイシャル28回照射 330,000円(自費)
  • フラクショナル2回照射 33,000円(自費)
  • イノジェクター1回照射 5,500円(自費)
  • ロアキュタン4ヶ月内服 66,000円(自費)
  • 内服 22,140円(3割負担)
  • 外用 91,650円(3割負担)