蕁麻疹(じんましん)とは

突然皮膚の一部が赤く腫れて盛り上がり、数時間から一日以内に症状が消えてしまうのが特徴の病気です。多くの場合、強いかゆみを伴い、原因は不明のことが多いです。どの年代でも発症し、10人に1人は一生に一度は経験するといわれています。他の人にうつることはありません。

日本皮膚科学会「皮膚科Q&A 蕁麻疹」

この病気の特徴

特発性蕁麻疹
原因はわかりませんが、突然症状が現れ、その場所が治まってもすぐに他の場所で繰り返し発症します。形と大きさはさまざまで、6週間以上続くものを慢性蕁麻疹といいます。およそ7割がこのタイプの蕁麻疹といわれています。

刺激誘発型蕁麻疹
薬や食べ物、寒暖差などの物理的な刺激が原因となって発症します。刺激が加わって数分~2時間くらいのうちに症状が現れ、ほとんどの場合は長くて2~3時間以内に症状が治まります。

血管性浮腫
唇やまぶたが赤く腫れ、必ずしもかゆみはありません。また、一度現れると2~3日続くことが多いのが特徴です。まれに遺伝的原因によることがあります。喉の奥が腫れて窒息することがありますので、発作時の適切な対応が大切です。

生活上の注意

  • 掻いてしまうとそれが刺激となって蕁麻疹が拡がるので、掻かないようにしましょう。
  • かゆみが強く我慢できないときは、タオルで巻いた氷枕や保冷剤などで患部を冷やし、かゆみをやわらげましょう。
  • 熱いお風呂に入ると症状を悪化させることがありますので、ぬるめのお湯かシャワーにしましょう。
  • 飲酒も悪化誘因となるため、なるべく控えましょう。
  • ストレスはためないようにしましょう。
  • 十分な睡眠をとりましょう。
  • 汗をかいたままにしないようにしましょう。
  • 下着はなるべく刺激の少ない綿100%などの素材を選びましょう。

治療方法

原因がわかればそれを避けることも重要です。じんましんの治療の基本は抗アレルギー剤の内服を行います。

抗ヒスタミン作用を持つ抗アレルギー剤
抗ヒスタミン薬は、ヒスタミンという物質が原因となるかゆみや発疹を抑える効果があります。効果が不十分な場合は、内服量を増量したり、2種類以上の抗アレルギー剤を組み合わせたりします。

その他
適応外使用ですが胃薬の一種(H2ブロッカー)、ロイコトリエン受容体拮抗薬、抗プラスミン剤、漢方薬が有効のこともあります。

オマリズマブ(ゾレア®)
このような従来の内服治療を行っても改善が見込めない場合は、オマリズマブという生物学的製剤の注射を行うと効果が期待できます。ヒト化抗ヒトIgEモノクローナル抗体が効果を発揮します。この抗体が 血清中の遊離IgEにはたらきかけ、IgE抗体と肥満細胞との結合を邪魔することにより、肥満細胞からアレルギーの原因となるヒスタミンなどの化学物質の放出を抑制します

デュピルマブ(デュピクセント®)
慢性蕁麻疹の発症メカニズムにはまだ不明な点が多いものの、IgEを抑え込むだけでは効果が不十分で、アトピー性皮膚炎と同様にIL-4やIL-13を中心とするTh2サイトカインも関与していることが近年明らかになってきました。デュピルマブはIL-4/13シグナルを阻害することで、2型炎症を抑制し、結果として蕁麻疹症状を改善すると考えられます。ただしオマリズマブに反応の悪い方に有効かはまだ十分な検討がありません。
  
デュピクセント自己注射の方法

蕁麻疹は先ほど述べた通り、7割が原因のわからない蕁麻疹(特発性)です。きちんと継続して治療することで症状を改善することができます。じんましんが長引くと不安になりがちですがいずれ完治することが多い病気です。。慢性の蕁麻疹の平均治療期間は6年といわれていますので諦めずに根気よく治療を続けることが大切です。また通常の治療にてコントロールが難しいと判断した蕁麻疹にはゾレア、デュピクセントという生物学的製剤の注射を使用してなるべく早くつらい症状を取るように努めております。いつでもご相談ください。