円形脱毛症とは

毛が円形状~楕円形に抜ける病気です。痛みを生じることもありますが、通常前触れもなく発症します。症状が良くなったり悪くなったりを繰り返すことがあります。抜ける部分が1か所だけのこともあれば多発する時もあります。頭髪のほか、眉毛、ひげ、四肢の毛などにも発症することがあります。原因としては自己免疫性疾患やアレルギー素因(体質)の関わりも指摘され、自己免疫性甲状腺疾患やアトピー性皮膚炎に合併することもあります。また爪の異常を生じることもあります。

>日本皮膚科学会Q&Aの『脱毛症』

病気の特徴

  • 脱毛部分は直径数cmの円型~楕円形で境界は明瞭です。
  • 過去にも脱毛を経験していることが多くみられます。
  • 自己免疫疾患やアレルギー素因も考えられています。
  • 脱毛部分の周囲の毛をピンセットで引っ張り容易に抜けるときは病気がまだ進行していく可能性があります。
  • 脱毛部分の周囲の毛の毛根が細い時には、進行性の可能性があります。

生活上の注意

  • 原因はまだよくわかっていませんが、遺伝性のほかにもストレスや疲れなども関わっていると考えられています。
  • 発症を予防するには規則正しい生活を心がけ、十分な休息や睡眠を確保してストレスをためないようにしましょう。
  • 合併している病気があるときは、同時にその病気の治療も行っていきましょう。
  • 自然に治ることも期待できますが難治性のものもありますので定期的に病院にかかりましょう。

治療方法

カルプロニウム塩化物
円形脱毛症や脂漏性皮膚炎、尋常性白斑など幅広い症状に適応があります。血管拡張作用によって機能が低下した毛嚢にはたらきかけ、発毛を促進します。脱毛症に対する治療の歴史が長く、市販の発毛促進薬にも配合されることの多い成分です。円形脱毛症への単独治療は十分な効果が確認されておらず、そのほかの治療法と併用するのが一般的です。

ステロイド
過剰な免疫反応を抑え、脱毛を防ぐ治療法です。ステロイド療法には外用薬・内服薬・局所注射の3つの種類があり、まずは外用薬を投与して経過を観察します。急速に進行する症例では、期間を決めて内服薬を用いた治療を検討します。なお、原則として子どもへのステロイド内服・局所注射は行いません。

JAK阻害薬
12歳以上で脱毛斑がおおむね50%を超える症例には適応を検討します。

セファランチン
抗アレルギー作用や血管拡張、血液幹細胞を増殖させる働きのあるお薬です。血管を拡張させることで血流が促され、頭皮に栄養を届ける効果があると考えられています。円形脱毛症の治療では併用療法として行うのが一般的です。

グリチロン®
炎症やアレルギーを抑えるお薬です。保険診療であり、かつ副作用が少ないことから併用療法として行うことが推奨されています。

紫外線療法
当院においてはおもにエキシマライトを使用しております。脱毛部位に紫外線を照射し、免疫反応を抑える治療法です。

円形脱毛症の症例

エキシマライト40回照射 20,250円(3割負担)
外用薬 2,460円(3割負担)
内服薬 1,000円(3割負担)

難治性の円型脱毛症に対して2020年に紫外線治療が保険適応になり、さらに2022年からJAK阻害薬が適応となり治療の選択肢が増えてきました。いままで治すことが難しかった円型脱毛症も治る可能性があります。一度ご相談ください。