一般的に「シミ」の患者さんの多くは加齢性や紫外線暴露に伴うものです。その中でも高い頻度でみられる代表的なものにはSK(老人性色素斑、脂漏性角化症)や肝斑ですが、そのほかにソバカス(雀卵斑)、ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)、炎症後色素沈着(PIH)の5つに分類されます。
それぞれシミの種類によって治療は異なりますので正しく診断し、それぞれの症例に対し最も有効な治療を行っています。
シミの種類
老人性色素斑・脂漏性角化症 Solar lentigo•Seborrheic keratosis(SK)
老人性色素斑は30才代以降から徐々に増えてくる不定形の大小さまざまな境界のはっきりしたシミです。長期間紫外線に暴露することによって生じます。Qスイッチレーザーによる治療が最も有効です。一方脂漏性角化症は表面にざらつきのある盛り上がったシミですがQスイッチレーザーのみで取りきれないことも多く、エルビウムレーザーや炭酸ガスレーザーにて治療します。
症例1 老人性色素斑 40代男性
Qスイッチレーザー1回
症例2 老人性色素斑 40代女性
Qスイッチレーザー1回
症例1 老人性色素斑 40代女性
エルビウム 1回
肝斑 Melasma
おもに20才〜30才代の女性の両頬・額・口周りなどに発症する境界のはっきりとしないびまん性の褐色色素斑です。女性ホルモンや紫外線、皮膚への刺激によって悪化します。基本的にはビタミン剤やトラネキサム酸などの内服、ハイドロキノンやトレチノインの外用薬が第一選択です。また患部に摩擦や刺激を与えないことが大事です。そのほかにメラノサイトの活性化や活動性を抑えるレーザートーニング、シルファーム、トランサミンなどの美白剤をエレクトロポレーションにより肌に直接導入することができるメソナJなどが有効と考えられています。
症例1 肝斑 50代女性
レーザートーニング5回
症例2 肝斑 40代女性
セラピューティック1回
40代女性
後天性真皮メラノサイトーシス Acquired dermal melanocytosis(ADM)
多くが20才以降で初発し、頬・下眼瞼・こめかみなどに分布する褐色斑点状の色素斑、あるいは額外側・鼻背などに分布するびまん性色素斑です。 肝斑とは異なり経時的変化はあまりありません。Qスイッチレーザーによる治療が最も有効です。
症例1 ADM (後天性メラノサイトーシス)40代女性
Qスイッチレーザー1回
ソバカス(雀卵斑)Fleckles
若年時に両頬・下眼瞼・鼻背など左右対称性に発症する褐色斑点状の色素斑です。 紫外線の影響の他に遺伝的な素因があると考えられています。思春期にピークとなり、中年以降目立たなくなります。こちらは紫外線暴露で再発を起こしやすいので、日々のUVケアをしっかり行いましょう。エクセルV、Qスイッチレーザーによる治療が有効です。
症例1 ソバカス(雀卵斑) 30代女性
Qスイッチレーザー1回
炎症性色素沈着 Post-inflammatory hyperpigmentation(PIH)
さまざまな刺激により皮膚が炎症を起こして一時的にシミが生じることをいいます。またシミのQスイッチレーザー治療後にも一時的に炎症後色素沈着によるシミが生じることがあります。私たちのようなアジア系やアフリカ系人種に起こりやすいといわれています。何もせずそっとしておけば半年〜1年ぐらいで徐々に薄くなってきます。トラネキサム酸を内服することがあります。難治性の場合には、ハイドロキノン、トレチノインの外用やレーザートーニングやシルファーム、メソナJも有効です。
症例1 炎症後色素沈着 50代女性
セラピューティック1回
50代女性
当院ではシミ治療に特に力を入れております。まずは治療の前にしっかりメイクを落としていただき、シミの診断を行います。そして、そのシミに合った治療方法を的確にアドバイスし提案いたします。
また、治療効果を高めるにはその後のスキンケアが重要です。治療前にスキンケアについてもしっかりと説明をしていきます。治療したらそれで終わりではなく、その後も画像診断を定期的に行い、現在の肌の状態をチェックし、それに合ったスキンケアのアドバイス、治療をご提案いたします。シミに悩んで高い美白化粧品を使ってもシミが消えずメイクで隠してあきらめている方ぜひ一度ご相談ください。