多汗症とは?

多汗症とは異常な量の汗をかく状態のことです。通常、汗は熱や運動に関連してかくものですが、多汗症になると生理的に汗をかく状況ではなくても多量に汗をかくようになります。
多汗症には、腋わきや手など限定された場所のみに汗をかく場合と、全身に汗をかく場合があります。また、思春期前後から多汗症を発症することもあれば、成人期になってから多汗症を発症することもあります。汗を多量にかくため、日常生活に支障がでたり、精神的な負担につながったりすることも少なくありません。原因を正確に判断し、適切な対処法をとることが大切です。悩む人が一番多い部位はわきですが、他に手足や頭部、顔面などにも現れます。部位によって発症する時期が異なっていて、手足は低年齢から、わきは思春期になったころ、頭部や顔面は成人してからが多くなっています。

【局所性多汗症】

主に手のひらや足の裏、腋下など、ある部位から多量の汗がでるものを指します。なかでも原因が特定できない「原発性局所性多汗症」の頻度が高いとされています。

※治療

多汗症では多汗症の治療をするかどうかの目安は、「日常生活に支障をきたしているか」が重要です。汗をたくさんかいていても困っていない場合には治療の必要はありません。

主な治療には
・水道水イオントフォレーシス:水道水を入れた容器に手や足を入れ、専用の機器から微量の電気を流す方法です。この電流によって生じた水素イオンが汗腺の働きを低下させ汗の量を減らします。当院にては行っておりません。
・塩化アルミニウム製剤:数日かけて皮膚の表面に塗り、角質の外側に蓋を作って汗を閉じ込めます。健康保険の適応はありません。当院にてはパースピレックスをご紹介しています。
・抗コリン内服薬:交感神経から汗を出すための指令を与えるアセチルコリンが汗腺に届くのを妨げることで、発汗量を減らします。ただし夏に汗を止めると熱中症の危険もあります。
・抗コリン外用薬:皮膚から吸収されて交感神経から出される発汗を促すアセチルコリンをブロックすることで過剰な発汗を抑えます。世界に先駆けて腋窩多汗症に対して2020年に保険適用で塗り薬、2022年にはシート状のものも発売されました。また2023年には手掌多汗症に対しての塗り薬も発売されました。内服薬に比べて副作用のリスクが少なく、外用した部分にのみ作用する薬剤になるため、大きな選択肢となっています。
・ボトックス(ボツリヌス菌毒素)注射:交感神経から汗を出すための指令を与えるアセチルコリンが放出されるのを抑えます。1回打つと半年ほどの期間効果があります。
当院にては腋窩のみ行っています。(自費治療)
・交感神経遮断術:重症の局所性多汗症に対しては、汗腺支配神経である「胸部交感神経」をブロックする治療です。当院にては行っておりません。

症状が出現する部位や日常生活への支障の具合を見極めつつ治療法を選択することになります。多汗症はQOL(生活の質)に大きくかかわってくるのですが、何に困っていて、どの程度治したいのか、治療法にはどのような副作用があるのかなどを十分に認識し考えたうえで、治療法を選択することが重要です。

院長コメント
汗が多く出てしまい、患者さんの生活の質(QOL)を著しく障害するとされる多汗症ですが、実際には「体質だから」「恥ずかしくて病院に行けない」と受診をためらっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。最近では先ほど述べたように保険適応の薬剤も発売され治療の選択肢も増えてきました。多汗症は完治するのは難しいですが、コントロールすることは十分可能です。あきらめずにご相談ください。

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