巻き爪とは
巻き爪とは爪の端部分が内側に爪が巻く様にまがっている状態です。
足の親指で起こることが多いですが、他の指や、手の爪でも生じる事もあります。巻き爪を放っておくと皮膚に爪が刺さり炎症や痛みを起こす恐れがあります。
陥入爪とは
爪の外側の先端が周囲の皮膚に食い込み炎症が生じ、痛みや発赤、腫れなどが起きた状態です。足の親指に発症することが多いです。また、局所の感染症を併発することもあります。陥入爪は多くの場合、爪を短く切りすぎてしまうことによって発症します。
混合されやすい「巻き爪」と「陥入爪」の違い
巻き爪が引き金となって陥入爪が生じることもあれば、巻き爪ではないのに陥入爪になるケースもあります。
陥入爪は、皮膚に刺さりやすい爪の形であれば、どのような爪でも生じる恐れがあります。
巻き爪と陥入爪の見分け方
- 巻き爪
- 爪が巻いているが痛みはない。
- 爪が巻いていて痛みがあるが皮膚には刺さっていない。
- 陥入爪
- 爪は巻いていないが皮膚に刺さっていて痛い。
- 巻き爪と陥入爪の合併
- 爪が巻いていて皮膚にも刺さっていて痛みがある。
病気の特徴
- 巻き爪
- 爪の端が内側に向かって強く巻き込んだ状態です。
主な原因は爪に加わる力のバランスが崩れておこります。
- 陥入爪
- 爪が皮膚に食い込み、炎症を生じ痛みや発赤、腫れなどを起こします。
炎症が長引くと過剰に肉芽(赤い新生組織)が形成され、出血することもあります。
生活上の注意
歩行量の少ない人や、指を地面につけないまま歩く人は巻き爪になりやすいと言われています。爪を短く切りすぎたり、爪の角の部分を切る癖があると陥入爪になりやすいです。爪は先端がまっすぐで、爪の角が四角い形になるように切ってください。
サイズが合わない靴も陥入爪の原因となります。
当院で受けられる巻き爪・陥入爪の治療
【軽症の場合】
・テープで皮膚を引っ張る(テーピング法)
・爪甲の下にコットンを挿入する(コットンパッキング法)
【中等症の場合】
・形状記憶のあるプレートを爪甲に貼って矯正する(B/Sブレイス法)
・ワイヤーの弾性力によって爪の湾曲を矯正する(巻き爪マイスター)
・爪の軟化に着目し巻き爪矯正具の効果を上げる外用薬(リネイルゲル)
・爪の先の両端に穴を開けて形状記憶の起弾性ワイヤーを通して爪を矯正する(マチワイヤー)
【重症の場合】
・爪母の処理は行わず陥凹した部分のみを処理する(爪の部分切除)
・ワイヤーで爪甲の弯曲を矯正する(3TO(VHO)法)
・爪母の処理をする(フェノール法)
様々な治療法がありますが、当院では医師の診察の基づき、患者さんの状態に合わせて適切な治療方法を選択させていただきます。
テーピング法
テーピング法は保存療法の一つです。
対象となる疾患・お悩み
- 爪が爪縁部にあたって痛みが軽度ある方
- 巻き爪により皮膚への圧迫があり痛みを繰り返す方
- 間違った爪の切り方により皮膚が爪を圧迫している方
目的
- 巻いている爪と爪縁部への当たりを緩和する
- 盛り上がってしまった爪縁部への刺激を緩和する
治療の流れ
- 診察
- テーピングの方法説明
- 処置実施
症例1
症例2
爪周囲の皮膚に炎症があり腫れていて、皮膚が爪を圧迫していることで爪が伸びてこない方。
※VHO(3TO)併用
看護師コメント
テーピングはただ貼るだけでは意味がありません。その方の状態にあったテーピング方法をわかりやすく説明・ご提供致します。
テーピングの料金(保険適応)
※必要な方は自費で固定用テープ購入
B/Sブレイスクイック法
B/Sブレイスクイック法はドイツ式の巻き爪矯正法です。
特殊なグラスファイバー製の平らな板状になっている物で、これを爪の表面に装着することで爪全体を引き上げ、巻いている爪を健康的な形へ導きます。
爪を伸ばしたり穴をあけたりする必要がなく低侵襲で爪への負担が少ないことが特徴です。また、半透明の薄いプレートで見た目もほとんど気になる事がなく、凸凹も少ないので上からマニキュアを塗る事も可能です。
月に1回張り替えていただき個人差によりますが、半年から1年で巻き爪が改善されます。
特徴
- 施術時、装着時の痛みがほとんどない。
- 半透明で目立たない。
- マニキュアを塗布できます。
対象となる疾患・お悩み
- 巻き爪
治療の流れ
- 診察
- 爪に合わせたブレイスを選択し装着
(所要時間約20分程度)
注意事項
- なるべく足の指に負担のかからない靴を履いてください。(ヒールの高い靴、先の細い靴、小さい靴を履いていると効果が上がりません)
- 水泳、サウナ、その他スポーツなどを日常的に行い、爪に水分を多く含んだり、圧力がかかる事が多い場合通常より早めにはがれる事があります。
- 爪の角は丸く切らないで下さい。深爪の原因となります。
- ブレイス装着後はネイルポリッシュを塗る事ができますが、ジェルネイル等の人工爪はブレイスの張力を妨げるので使用しないで下さい。
- ブレイスがはがれてしまった場合には、なるべく早くご来院頂く事をお勧めします。再装着の場合は費用の御負担が必要になります。
- B/Sブレイスクイックは継続していく事で効果が出ますのですぐやめてしまうと元に戻りやすくなります。
- 巻き爪により、化膿、炎症を起こしている方
- 爪が剥離、内出血をしている方
- 爪が極端に薄い方
- 水虫など爪の疾患、感染症がある方
B/Sブレイスクイックの料金(保険適応外)
プレート1個 | 3,300円 |
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巻き爪マイスター
巻き爪マイスターは巻き爪(過度に弯曲した爪)を矯正するための医療機器です。コイルバネに内蔵された超弾性合金ワイヤが入っており、ワイヤの弾性力によって持続的に爪の弯曲を徐々に矯正していきます。
特徴
- 超合成合金ワイヤが、持続的に爪の弯曲を矯正します。
- ワイヤはコイルを抱合する設計であり、安全に配慮しています。
- バネの伸縮を利用して、フックを爪側縁に引っかける事で、比較的短時間で装着できます。
- 爪を自然な形で矯正できる設計です。爪の根元側の矯正効果も期待できます。
対象となる方
巻き爪
装着前に爪幅を測定します。爪幅が、14mm-25mmの爪を目安に、適応したサイズを装着します。サイズを大きく外れる患者さんには装着できない可能性があります。また、爪の状態によっては装着いただけない場合もあります。
施術のできない方
- 深爪・爪が薄い方・爪がもろい方
- 爪の角がない方
- 爪に亀裂が入っている方
- 白癬爪で脆弱化している方→白癬治療を優先します
- 皮膚にびらんや潰瘍などの強い炎症を伴っている方→別の治療を優先、または別の方法をご提案する場合があります。
施術の流れ
- 爪の角質を除去します。
- 爪幅に合わせて巻き爪マイスターを選択します。
- 専用工具を使用して爪に固定します。
- 保護用のテープを貼って終了です。
- 治療中、装着部に強い力(爪に負荷がかかるような激しい運動など)が加わると矯正具が外れやすくなる可能性があります。
- テープは衛生面を考慮し、入浴時などに取り替えます。
巻き爪マイスターの症例
装着前
巻き爪により痛みを伴っている
装着直後
装着直後から痛みが軽減
装着後10日
巻いていた爪が広がり痛みもなく改善している
巻き爪マイスターの料金(自費治療)
巻き爪マイスター(施術料込み) | 片方8,800円 |
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リネイルゲル
リネイルゲルとは、爪の軟化に着目して巻き爪矯正具による治療効果を向上させる外用薬です。有効成分アセチルシステインが、爪を軟らかくすることで、爪矯正具の治療効果を高めます。-塗布から約24時間で爪の軟化は完了し、その後リネイル®ゲルを洗浄することで、爪は数日かけて再び硬化します。爪矯正具の働きにより、平たんになったまま爪が再硬化するため、再び巻きにくい爪になることが期待されますので、今まで矯正具だけでは難しかった巻き爪の方への矯正が期待できます。
対象となる方
今まで矯正具を使用しても巻き爪があまり改善されなかった方
リネイルゲルの治療の流れ
- 巻き爪矯正具(巻き爪マイスター)を装着します。
- 爪周囲の皮膚保護のため周囲の皮膚にマスキングテープを貼ります。
- リネイルゲルを塗布します。
- 塗布後はカバーテープで覆い終了です。
※薬剤の塗布や保護テープの貼付は医師または看護師が行います。 - 塗布後24時間で保護用テープを剥がし、水またはぬるま湯で薬剤を洗い流します。
- 巻き爪マイスターは外さず、そのまま装着しておきます。
- 塗布してから約24時間後に、保護テープを剥がしてリネイルゲルを必ず洗い流してください。
- 保護テープを剥がすまでは、薬剤の漏出を防ぐため、患部を濡らさないようにしましょう。処置当日はできるだけ湯船に入らず、シャワーを利用するようにしてください。
- リネイルゲルを洗い流した後も、爪矯正具による治療は続けます。保護テープを剥がすときや洗い流すとき、また、その後の日常生活でも、爪矯正具が外れないように注意しましょう。
リネイルゲルの症例
装着・塗布前
巻き爪マイスター装着
リネイルゲル塗布したのち
保護テープで保護します
装着から14日目
巻き爪が広がったのを確認後
矯正を除去します
リネイルゲルの料金(自費治療)
リネイルゲル片側 | 3,300円 |
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3TO(VHO)法
深爪が原因の「陥入爪」や、内側へ異常に湾曲していく「巻き爪」で悩んでいる方が非常に多いにもかかわらず、あまり優れた治療方法がありませんでしたが「3TO(VHO)式矯正技術」は、爪が深く切り込んでいても施術可能で、施術当日から入浴、運動も可能です。
固定したワイヤーは爪の伸びとともに前方に移動するので、日常生活に支障がありません。
特徴
- 個々の形状に合わせることが出来る高い調整力
- 個々の巻き爪の形状や爪周囲の状況に合わせてワイヤーの長さやカーブ、張り具合をその場で素早く調整できるため型取りなどの手間や時間が必要なく、施術にかかる時間が短い。
- 個々の爪に最適な力加減で無理なく強力に矯正できる
- 爪を傷めず衛生的
- ワイヤーを皮下組織に刺すのではなく、爪に引っ掛ける(接着剤などを使わない)構造なので、爪・皮膚に損傷を与えない。
- 爪・皮膚への通気性が保たれる為、非常に衛生的。
- 経済的に自然な爪へ
- 極めて短時間で痛みが軽減(ワイヤーをかけた時点で巻きの圧力が激減するため痛みも軽減する)
- ワイヤーをかけた状態で日常生活に支障がなく、自然と爪が伸びてくるまで(約3カ月)付け替えが不要
- 矯正完了後は自然で健康的な形状に
- ※巻き爪は日々の歩き方、靴の影響等により再発することがあります。
治療の流れ
- 診察
- 必要に応じて麻酔をします。
- 専用のスチール鋼を爪の大きさに合わせて切り、爪の湾曲状態に合わせてワイヤーを湾曲させる。
- これを爪の左右に引っ掛け、専用のフックを用いて巻き上げ、固定する。
- 余分なワイヤーをカットした後、人工爪でワイヤーの固定部分をカバーする。
爪の横に引っ掛けたワイヤーは、一見、食い込んで痛いように見えますが、血管が走っている真皮内まで突き刺すわけではないため痛みを感じることはほとんどなく、出血もしません。
固定したワイヤーは爪の伸びとともに前方に移動してきます。
付け替えながら半年から1年くらいかけて矯正していきます。
合併症・副作用
- ワイヤーが自然に脱落してしまうことがあります。
- 期待される矯正効果が得られないこともありえます。
- 爪白癬(爪水虫)の場合は、まず水虫の治療を優先します
- 第1肢(親指)の爪以外は装着できません
- 極端に薄い爪の場合は、爪の破損の危険があるので適応できません
3TO法症例1
施術前
施術後
3TO法症例2
施術前
施術後
3TOの料金
陥入爪手術(簡単なもの) | 4,200円(3割負担) |
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自由診療 | 8,800円/1本 |
ペディグラス
ペディグラスは巻き爪専門の補正器具で、日本で開発されました。高い補正から、国内国際特許を取得しています。ペディグラスは、施術時に痛みを伴わない上、器具の装着後もほとんど目立たない美しい仕上がりで、爪を傷めることも無く再発もしにくいなど、画期的な技術です。どんな状態の巻き爪でも、ペディグラス・テクノロジーは1日でその痛みから解放されます。また、巻き爪の程度により回数は異なりますが、月に一度の施術で改善していくことができます。スポーツ、入浴などの日常生活も激しいものでなければ通常通り行っていただけます。
特徴
- 日本製の特殊樹脂を使用した補正具を使用し1度で強力に持ち上げることが出来ます。
- 重度巻き爪、変形爪、肥厚爪、割れ爪、第1趾爪以外の爪にも対応できます。
- 施術直後から痛みが改善します。
- 透明な補正器具を取り付けるのでほとんど目立たず美しい仕上がりです。
- 巻き爪の程度により完了までの回数は異なりますが、どんな状態の爪でも1ヶ月に1回の施術で確実に良い状態へと変えていくことが出来ます。
対象となる方
- 巻き爪
- 重度巻き爪
- 深爪
- 肥厚爪
- 割れ爪
施術が出来ない方
- 皮膚にびらんや潰瘍などの炎症があり、皮膚が湿潤している方→傷の治療を優先し、治療後矯正が可能です。
- 重度白癬→白癬治療を優先します。
施術の流れ
- 局所麻酔
- 問診、巻き爪の度合いを計測
- グラインダーを使用し爪の厚みを調節
- 補正具を装着。固定
- 補正具が目立たない様に整える
- 爪の表面にジェルを塗り強度を高めて爪を保護
- 爪と補正器具の間に隙間が出来た場合は、隙間に水や雑菌が入りやすくなり不衛生な状態になるため、爪水虫や、何らかの爪疾患になる可能性があるためご来院ください。
- 長時間の入浴、入水をされますと器具が剥がれやすくなります。
- 補正器具を無理やりはがすと、自爪が痛み2枚爪になったり爪が薄くなったり、割れたりする可能性があります。
症例1
症例2
ペディグラスの料金
陥入爪手術 | 4,200円(3割負担) |
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フェノール法
フェノール法は強い蛋白腐食作用を持つフェノールという薬剤を用いて、爪母細胞を処理し同部位の爪を生えなくする方法です。 爪を取り除いた部分の爪の生産工場の役割を担っている「爪母」という細胞をやっつけて爪が生えてこないように処理します。
結果として食い込んでいた部分の爪が消失し(生えてこない)、爪の幅が狭くなります。 爪の幅が狭くなるので、巻き爪(陥入爪)の再発リスクが低下、矯正治療などに比べると 根治的な治療 といわれて現在最も主流な手術法となっています。
対象となる疾患・お悩み
- 巻き爪・陥入爪を繰り返す
- 巻き爪・陥入爪の矯正治療でよくならない
治療の流れ
- 局所麻酔
- 切除する爪の部分をマーキング
- 食い込んだ爪の部分にハサミで縦方向に割れ目を入れる
- 爪の食い込んだ部分を抜き取る
- 抜き取った部分の根元にある爪母組織をフェノール剤で処理する
- 施術部分を洗浄し、軟膏を塗って保護
爪の食い込んだ部分を抜き取る
爪の食い込んだ部分を抜き取った後
爪母組織をフェノール剤で処理
合併症・副作用
- 痛みが数日続く場合があります
- 細菌による感染を起こす場合があります
- 爪の幅が狭くなります。
注意事項
- 当日から歩行は可能ですが、つま先の細い靴などはお控えください
- 1週間程度激しい運動、長時間の歩行はお控えください
- 当日からシャワー浴は可能ですので患部を清潔に保ってください
- 処方された内服、外用を医師の指示通りに使用してください
フェノール法症例1
施術前
施術直後
施術後2週間
フェノール法の料金(保険適応)
陥入爪手術 (爪床爪母の形成を伴う複雑なもの) | 7,470円(3割負担) |
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他の医療機関から陥入爪で適切な処置をされずに漫然と抗生物質の投与をうけて悪化して来院される患者様がみられます。もともとは爪が周囲の皮膚に食い込み炎症が生じ、痛みや発赤、腫れなどが起きているものなので食い込んでいる爪の処理をしないと改善しません。そのような方は更に悪化する恐れもありますので早めにご相談ください。