酒さとは

顔が赤くなり、ニキビのような症状の見られる慢性炎症性疾患です。中年以降に発症しやすく、女性に多い傾向があります。はっきりとした原因は分かっていませんが、遺伝的な要因や紫外線や気温などの外部環境、精神的ストレスや食べ物などの環境因子が複雑に関与していると推定されています。
酒さは症状が以下のように徐々に進行していきます。

第1度(紅斑毛細血管拡張型)
赤みと毛細血管の拡張がみられます。
第2度(丘疹膿疱型)
赤みやほてりに加え、赤い盛り上がりや膿のたまったニキビのようなぶつぶつがみられます。
第3度(鼻瘤)
鼻先の皮膚がみかんの皮のようにデコボコと盛り上がってきます。

病気の特徴
  • 顔に生じる原因不明の慢性炎症性疾患です。
  • 中年以降に発症しやすく、男性よりも女性に多い傾向があります。
  • 生活様式により悪化することがあります。
  • 症状の強さにより3段階に分類されます。
  • 赤み、ほてりから始まって、その後ニキビのような症状が出てきます。
  • 赤みはなかなか治りにくく、レーザーが必要なことがあります。
  • 症状が1日の中でも変動することがあります。
生活上の注意

毛細血管が拡張しないように以下の点に気を付けましょう

  • 辛いもの、アルコール、カフェインなどの刺激物の摂取を控えましょう。
  • 寒暖差がある場所への出入りを控えましょう。
  • 直射日光を長時間浴びないようにしましょう。
  • 気持ちの高ぶる状況で症状が悪化しやすいため、できるだけストレスがたまらないように気を付けましょう。
  • 過度の運動は控えましょう。
  • 睡眠を十分にとりましょう。
  • 禁煙しましょう。
  • 熱いお風呂に長時間入るのは避けましょう。
治療方法

酒さ保険治療

外用治療
  • メトロニダゾール(ロゼックス®軟膏)
    ニキビダニ(demodex)による酒さの悪化も多くみられその際は有効なことがあります。
内服治療
  • テトラサイクリン系の抗生剤(特にミノサイクリン)
    ニキビ様のぶつぶつだけでなく、びまん性の赤ら顔にも効果的です。

酒さ自費治療

外用治療
  • アゼライン酸20%クリーム(AZAクリア)

アゼライン酸を高濃度に配合したクリームです。アトピー性皮膚炎の方や肌が弱く過酸化ベンゾイル、アダパレンの使用がどうしても難しい方におすすめしています。また妊娠中や妊娠の可能性のある女性の患者様にも使用可能です。
【使用方法】
朝晩の洗顔後、化粧水、乳液などでお肌を整えたあと、適量を手に取り、気になる部分または顔全体にやさしくなじませてください。

アゼライン酸を配合した乳液タイプ(ベーシックケアAZ)とアゼライン酸誘導体3%を配合した化粧水タイプ(ベーシックケアAZクリアローション)
酒さ治療で使用されるアゼライン酸は20%と高濃度で刺激感を感じる方もいらっしゃいますが、ベーシックケアAZは治療用よりも低濃度で配合しているため刺激感がほとんどなくご使用いただけます。

機器による酒さ治療

保険適応外ですが毛細血管を減少させるために併用して行うこともあります。

酒さの症例

症例1 紅斑毛細血管拡張型 50代女性

Vビーム 10回 

症状2 丘疹膿疱型 10代女児

保険治療
ロゼックス(外用)
ミノマイシン(内服)

症例3 鼻瘤 50代男性

Vフェイシャル 5回

体質的な要因が強く、またさまざまな悪化要因があり短期間で症状をなくすことは難しいため、長期間の治療介入が必要となります。経過中によくなったり悪くなったりすることもありますが、根気よく治療を継続することが大切です。酒さでは、原因に挙げたような要因をもとにして症状が悪化することもあります。そのため、治療の一環としてこれらの要因を避けることも必要です