幹細胞とは?

再生医療の中心的役割を担っているのが『幹細胞』です。
幹細胞は私たちの体のあらゆる細胞を生み出す元になる細胞です。
幹細胞には二つの能力があります。1つは自己複製能という全く同じ能力を持った細胞を作り出す力、もう1つは分化能という様々な細胞へ分化できる力です。
これにより病気やケガで組織がダメージを受けても、幹細胞が新たな細胞を生み出すことによって、その組織は再生すると考えられています。

幹細胞を用いる再生医療は、厚生労働省が認めた特定認定再生医療等委員会でその治療の妥当性・安全性・医師体制・細胞加工管理体制などが厳しく審査されます。そこで適切と認められれば厚生労働省に治療計画を提出でき、はじめて治療を行うことが可能となります。

当院では第二種再生医療に対し、特定認定再生医療等委員会の意見の元、再生医療等提供計画を厚生労働大臣に提出し2021年12月20日に計画番号を取得。当院における『自己脂肪由来間葉系幹細胞を用いたアトピー性皮膚炎の治療』の実施が許可されました。

●計画番号:PB4210016
『再生医療等提供機関一覧』(厚生労働省)

当クリニックの治療方法

幹細胞の中で実用化が最も進んでいるのが体性幹細胞です。その中でも注目されているのが『脂肪幹細胞』で創傷治癒・免疫調整・新生血管形成などがあげられ、様々な疾患治療への応用が期待され、幹細胞を使用する再生医療はかなり進化してきています。
当院では治療を受けられる患者様の脂肪組織を採取し、その幹細胞を培養します。その後、培養した幹細胞を点滴などによって体内に投与し、生体機能を飛躍的に向上させる治療を行います。幹細胞は増殖すると数多くの増殖因子や成長因子、コラーゲンなどを分泌します。そのため培養によって活性化した状態の幹細胞を体内に戻すことで、老化などによる健康や美容などの不調の改善が期待できるのです。

効果が期待される疾患

医学論文では当院で認可を受けた『アトピー性皮膚炎』のみならず、脳梗塞・糖尿病・肝硬変・虚血性心疾患・閉塞性動脈硬化症・慢性疼痛などに効果があったという報告があります。これは少なくとも静脈投与により、脳や肝臓、膵臓・血管など様々な部位に幹細胞が働きかけていることを示しています。

そのほか幹細胞治療の副産物として
・よく眠れるようになった
・イライラしにくくなった
・作業に集中できる時間が長くなった
・記憶力が良くなった
・疲れにくくなった
・視力の回復、老眼の改善
・肌のハリが良くなった。トーンが明るくなった
・白髪が黒くなった。髪の毛が増えた
・性機能の改善、性欲が出てきた
・歯周病が良くなった
などの報告もあります。

  • 幹細胞治療の副作用
  • 幹細胞治療は自己の細胞を用いた治療のため、副作用の心配はほとんどありません。 幹細胞治療では様々な部位に改善が期待できるとはいえ、現時点ではあらゆる全ての臓器に効果があるとは言えません。また癌化については現在のところ、様々な研究結果によりリスクはないと考えられています。治療には幹細胞の培養が必須となりますが、当院では信頼実績の高い施設と提携し、徹底した管理体制のもと培養を行っていきますので安心して受けて頂けます。

幹細胞治療の流れ

  • 医師によるカウンセリングと検診
    ・痛みを緩和させるため冷却します。
    ※特に痛みに弱い方には麻酔クリームを30分前に塗布します(有料)。
    ・採血等の事前検診を行い適格性を確認の後、脂肪採取へと移ります。
  • 脂肪の採取
    ・局所麻酔を行い主に腹部の皮下脂肪から組織を採取します。
    ・採取する脂肪の量は5mg程度です。
    ・脂肪採取後、1時間程度経過観察を行った後、ご帰宅いただきます。
  • 幹細胞の抽出
    ・培養・採取した脂肪組織から幹細胞を抽出し、4週~6週間かけて培養します。
    ・培養は厚生労働省認可の細胞培養加工施設で厳格な品質管理のもと細心の注意を払って行われます。
    ・幹細胞に対して無菌性試験を行います。
  • 幹細胞の投与
    ・投与に先立って医師が当日の健康状態を確認します。
    ・培養された幹細胞を静脈点滴により投与します。
    ・培養した幹細胞の一部を凍結保存し将来に備えます。
    ・点滴終了後、1時間程度経過観察を行った後、ご帰宅いただきます。
  • アフターフォロー
    ・幹細胞投与後も定期的に診察を行い、長期的に健康状態をチェックします。
    ・定期的に通院が困難な方には定期的なご連絡を差し上げることで経過観察を行う場合や、かかりつけ医とも連携し経過状況を共有させていただくことがあります。

自己脂肪由来幹細胞治療に関するご相談

こちらの治療に関しては個別にご案内いたします。
お問い合わせ・ご相談はお電話にてお寄せ下さい。

アトピー性皮膚炎は小児期に多いというイメージがありますが、成人になってから症状が発症したり、小児から成人になっても症状が続くケースも多く成人でも比較的頻度の高い疾患です。
赤み、色素沈着など皮膚の外見的な障害だけでなく強いかゆみにより睡眠、仕事、学業など生活のさまざまな部分に大きな苦痛、障害を与えます。
しかし根治的な治療はいまだになく長年ステロイド外用剤や保湿薬の外用による治療が主体になっております。
確かにこれらの治療は多くの場合有効であり皮膚炎の程度、発症部位に応じてステロイド外用薬を塗り分け、また適切な外用量、外用方法を行うことでかなりのアトピー性皮膚炎の症状はコントロール可能となります。
しかし多忙な現代社会の中に一定期間しっかり外用すれば完全に治るというようなゴールがあればいいのですが慢性疾患であるため継続する必要があり理想の外用治療を継続してもらうことは容易でないこともいつも外来でよく経験しています。
ただ近年になって生物学的製剤であるデュピルマブやJAK阻害薬などの新薬が続々と登場してアトピー性皮膚炎の病態理解も進歩してきています。そこで病態で重要な役割をしているのがIL-4,IL-13,IL-31などの2型サイトカインということがわかってきました。
またアトピー性皮膚炎に対して自分の体の中に存在する間葉系幹細胞を体外で培養し細胞の数を増やしたのちに点滴によって体内に戻すという治療が有効であるという報告がなされてきています。
点滴静脈注射された間葉系幹細胞は先ほどのIL-4やIL-13などの2型サイトカインの出現を抑え症状を改善すると考えられています。これまでの一般的な治療では効果を出すことが難しいとお考えの患者様を対象に考えていますのでご相談ください。